必要な書類は、遺言書、遺産分割協議書、家庭裁判所の調停調書・審判書のどれがあるかで決まります。どの場合も、亡くなった人の戸籍と、手続をする人の印鑑証明書が中心です。金融機関によって求める書類が違うことがあるので、先に取引金融機関に確かめます(全国銀行協会)。
4つの場合の必要書類
全国銀行協会の案内にある、概ね必要となる書類です。
| 場合 | 必要になる書類 |
|---|---|
| 遺言書がある | 遺言書/検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外)/亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの)/預金を相続する人(遺言執行者がいれば遺言執行者)の印鑑証明書/裁判所で遺言執行者が選任されているときは選任審判書謄本 |
| 遺産分割協議書がある | 遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)/亡くなった人の出生から死亡までの連続した除籍謄本・戸籍謄本など/相続人全員の戸籍謄本/相続人全員の印鑑証明書 |
| 遺言書も協議書もない | 亡くなった人の出生から死亡までの連続した除籍謄本・戸籍謄本など/相続人全員の戸籍謄本/相続人全員の印鑑証明書 |
| 家庭裁判所の調停調書・審判書がある | 調停調書謄本または審判書謄本(審判書上に確定表示がないときは審判確定証明書も)/預金を相続する人の印鑑証明書 |
遺言相続の場合は、遺言書の内容によって手続と必要書類が異なるため、遺言書と検認を確認できる書類を用意した段階で、金融機関に相談するよう案内されています。
先に集めておくもの
遺産分割前の払戻し制度
法務省の相続法改正の案内によると、2019年(平成31年)7月1日の施行(一部の規定を除く)で、遺産分割が終わる前でも、各共同相続人が、他の共同相続人の同意がなくても単独で預貯金の払戻しを受けられる制度ができました。口座ごとに、次の計算式で求めた額までです。ただし、同一の金融機関に対する権利の行使は、法務省令で定める額(150万円)が限度です。
単独で払い戻せる額 = 相続開始時の預貯金債権の額 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分
たとえば、ある口座に600万円あり、法定相続分が2分の1の相続人なら、600万円×3分の1×2分の1=100万円です(編集部の計算例)。全国銀行協会の案内にも、この制度のリーフレットへのリンクがあります。葬儀費用や当面の生活費が必要なときに確かめる制度ですが、手続と必要書類は金融機関によって違うため、先に取引先に確かめてください。
生前にできる備え
口座が多いほど、遺族の手間は増えます。使わない口座を整理し、どこに何があるかをエンディングノートに書いておくこと、預貯金口座へのマイナンバー付番を検討すること、終活のお金の整理で口座・保険を一覧にすることが、そのまま備えになります。保険の手がかりは生命保険契約照会制度で調べられます。
よくある質問
戸籍は何通必要ですか?
全国銀行協会の案内では、通数は書かれていません。金融機関によって原本の返却や写しの扱いが違うため、手続の窓口に確かめてください。
ネット銀行の場合は?
全国銀行協会の案内に、ネット銀行についての記載はありません。各銀行の案内で手続を確かめてください。
あわせて読む
出典
- 預金相続の手続に必要な書類(全国銀行協会)
- 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)(法務省)
- 遺言書の検認(裁判所)
出典の確認日: 2026年11月7日