生前整理は、「大事な書類」→「財産の一覧」→「物」→「デジタル」の順に進めると、家族が困ることから片づきます。物を減らすのは体力が要るので、50代など早めに始めると楽です。
生前整理とは
生前整理は、元気なうちに、自分の物と財産を整理しておくことです。終活の一部で、亡くなったあとに家族がする遺品整理の負担を軽くすることにもつながります。
よく似た言葉に「身辺整理」があります。身辺整理は、入院や施設に入る前などに、身の回りの物や契約、人づきあいを整えることを指す使い方が多く、このサイトでは身辺整理のやり方で別に説明しています。
始める時期の目安
決まった年齢はありませんが、次のような区切りが始めやすい時期です。
- 子どもが独立して、家の中の物の持ち主が変わったとき
- 定年や働き方が変わるとき
- 引っ越しや住み替えを考えたとき
- 親の家の片付けを経験して、自分の物の多さに気づいたとき
大きな家具の移動や長年の物の仕分けは体力を使います。年代別の目安は50代の終活でも説明しています。
手順1 大事な書類を1か所に
最初に、家族が手続で必ず探すことになる書類を1か所に集めます。全部を整理し終えなくても、ここだけ済ませておけば家族は大きく助かります。
- 通帳とキャッシュカード(暗証番号は書かない)
- 生命保険・医療保険の証券
- 年金の書類(年金証書・ねんきん定期便)
- 不動産の書類(権利証や登記識別情報、固定資産税の通知)
- 遺言書(法務局に預けたなら、その保管証のコピーや保管場所のメモ)
- 借入れやローンの書類
手順2 財産の一覧を作る
次に、財産の一覧(財産目録)を作ります。預貯金・有価証券・不動産・保険・借入れを、金融機関名や所在地と一緒に書き出します。
遺言書を自分で書く場合、財産目録は2019年1月13日から、パソコンで作ったものや通帳のコピーを添付してもよいことになりました。その場合は、目録の全てのページに署名と押印が必要です(法務省)。生前整理で作った一覧を、そのまま遺言書の準備に生かせます。
不動産は、名義が今の持ち主になっているかも確かめます。相続登記は2024年4月1日から義務になり、それより前に相続して名義を変えていない不動産は、2027年3月31日(令和9年3月31日)までに登記が必要です。親や祖父母の名義のままの土地があれば、早めに法務局や司法書士に相談します。
手順3 物を減らす
物は、判断しやすいものから減らします。
- 1年以上使っていない物衣類・食器・趣味の道具など。迷ったら箱にまとめ、半年たっても開けなければ手放します。
- 重い物・大きい物家具や家電は、体力があるうちに処分を決めます。粗大ごみは住んでいる市区町村の決まりで出します。
- 思い出の品手紙や写真は最後に。残す量を「箱1つ」などと先に決めると選びやすくなります。
物が多く、運び出しが自分では難しいときは、家族や片付けの事業者に手伝ってもらう方法もあります。運営者のカエルのお片付け屋も、生前整理の仕分けや運び出しの相談をカエル.comで受けています。
手順4 デジタルの整理
スマホやパソコンの中の写真、ネット銀行やサブスクの契約も、生前整理の対象です。家族がロックを解けないと、契約の有無すら分かりません。手順はデジタル終活で説明しています。
生前贈与を考えるとき
生前整理をきっかけに、子や孫へ財産を渡すことを考える人もいます。国税庁によると、暦年課税の贈与税には年110万円の基礎控除があります。一方で、2024年1月1日以後の贈与からは、亡くなる前に受けた贈与を相続財産に足して計算する期間が、3年から7年へ段階的に延びています。
相続時精算課税を選んだ場合も、2024年1月1日以後の贈与には年110万円の基礎控除があります。どちらが向いているかは財産や家族によって違うので、税務署や税理士に確かめてください(相続の準備)。
チェックリスト
- 大事な書類を1か所に集めた
- 口座・証券・保険・不動産・借入れを一覧にした
- 不動産の名義を確かめた
- 1年以上使っていない物を減らした
- 大きな家具や家電の処分の方法を決めた
- 写真や手紙を残す量を決めた
- スマホのロックの解き方と、使っているサービスを書き出した
- 一覧と書類の置き場所を家族に伝えた
よくある質問
生前整理と断捨離は違いますか?
断捨離は物を減らす考え方を指すことが多い言葉です。生前整理は、物に加えて書類や財産、デジタルの契約まで、家族が困らないように整えることを含みます。
家族に見られたくない物はどうすればいいですか?
自分で処分するか、処分してほしい物をまとめて、信頼できる人に扱いを頼んでおきます。エンディングノートに書いておく方法もあります。
どこまで整理すれば終わりですか?
終わりはありません。大事な書類と財産の一覧ができていれば、残りは少しずつで十分です。年に1回、誕生日などに見直すと続けやすくなります。
あわせて読む
出典
- 自筆証書遺言に関するルールが変わります。(法務省)
- 相続登記の申請義務化について(法務省)
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)
- 相続時精算課税制度のあらまし(国税庁)
- 今から考えておきたい「デジタル終活」-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-(2024年11月20日)(国民生活センター)
出典の確認日: 2026年10月20日