最初は「連絡してほしい人」「お金と契約の在りか」「医療・介護の希望」の3つを書き出します。紙1枚でかまいません。そのうえで、遺言書や任意後見の契約のように本人にしかできない手続を、体調や判断する力がしっかりしているうちに検討します。
チェックリスト(12項目)
上から順に進めると、家族が困りやすいことから片づきます。全部に印が付かなくても、書きかけのまま家族に場所を伝えておくだけで役に立ちます。
情報を残す
- 1. 連絡してほしい人の一覧を作る — 入院や亡くなったときに知らせてほしい人。親族だけでなく、友人や職場、趣味の仲間も。
- 2. お金の在りかを一覧にする — 銀行・証券・保険・年金・借入れ。金融機関名と支店、種類が分かれば十分です(終活のお金の整理)。
- 3. 毎月払っている契約を書き出す — スマホ、サブスク、新聞、クレジットカード、公共料金の引き落とし口座。
- 4. スマホ・パソコンのロックの解き方を残す — 家族がロックを解けないと、連絡先も契約も確かめられません(デジタル終活)。
物と身の回りを整える
希望を伝える
- 6. 医療・介護の希望を話し合う — どんな医療やケアを望むか、代わりに判断してほしい人は誰か(人生会議)。
- 7. 臓器提供の意思を表示する — 「提供する」だけでなく「提供しない」も意思表示です。マイナンバーカードや運転免許証に欄があります。
- 8. 葬儀の希望を書く — 形式、呼んでほしい人、宗教、費用の考え方(葬儀の準備)。
- 9. お墓と納骨の希望を決める — 今のお墓を継ぐ人がいるか、移すか閉じるか(墓じまい)。
法律の備え
- 10. 遺言書を作るか決める — 財産の分け方を決めておきたいとき(遺言書の準備)。
- 11. 判断能力が落ちたときと、亡くなったあとの手続を誰に頼むか決める — 任意後見や死後事務の契約。頼れる家族がいない人は特に(おひとりさまの終活)。
- 12. エンディングノートにまとめ、置き場所を伝える — 1〜11で書いたものを1冊に(エンディングノートの書き方)。
急ぐもの・ゆっくりでよいもの
| 項目 | いつまでに | 理由 |
|---|---|---|
| スマホのロック・連絡先・お金の在りか | すぐ | 手間が少なく、家族が困ることを大きく減らせる |
| 親から相続した不動産の名義 | 2027年3月31日まで | 相続登記が2024年4月1日から義務になり、それより前の相続で名義を変えていないものは2027年3月31日(令和9年3月31日)までに登記が必要 |
| 遺言書・任意後見の契約 | 元気なうちに | 本人にしか作れない。体調を崩すと、書く・公証役場へ行くといった準備が難しくなる |
| 生前整理 | 体力があるうちに | 大きな家具や大量の物の仕分けは体力を使う |
| 墓じまい | 時間に余裕をもって | 親族との話し合い、新しい納骨先探し、役所の申請と、段取りが多い |
| エンディングノート | いつでも・ときどき見直す | 何度でも書き直せる。誕生日など見直す日を決めておくとよい |
本人にしかできない手続
終活の多くは家族が手伝えますが、次の手続は本人の意思で行うものです。
- 遺言書 — 自分で書く自筆証書遺言は、本文・日付・氏名を自分で書いて押印します(財産目録はパソコンで作ったものでもよく、その場合は全ページに署名と押印)。公証役場で作る公正証書遺言は、公証人と証人2人の前で作ります。
- 任意後見の契約 — 判断能力が十分なうちに、将来をまかせる人と公正証書で契約しておく制度です。判断能力が落ちてから、家庭裁判所が任意後見監督人を選ぶと効力が生じます。
- 死後事務の契約 — 葬儀や役所への届出、契約の解約など、亡くなったあとの手続を頼む契約です。国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は、事業者に、何をどこまで行うか、その費用と預けたお金の残りの扱いを、契約書などではっきりさせるよう求めています。
どれも、家族が代わりに作ることはできません。早めに検討しておくと、選べる方法が多く残ります。
書いたものの置き場所と伝え方
書いたものは、見つけてもらえなければ役に立ちません。置き場所を、信頼できる人に1〜2人伝えておきます。
- エンディングノートには、遺言のような法律上の効力はありません。家族への情報と希望を伝えるためのものです。
- 遺言書を法務局に預けると、亡くなったあと、あらかじめ指定した人に遺言書が保管されていることを知らせてもらえます。2023年10月2日からは、知らせる相手を、相続人や遺言執行者などに限らず3人まで指定できるようになっています。
- 大田区には、65歳以上の区民が、エンディングノートや遺言書の保管場所などを区に登録し、もしものときに指定した人や機関へ伝えてもらえる「老いじたく情報登録事業」があります(登録は無料)。住んでいる市区町村にも同じような仕組みがないか、確かめてみてください。
終活にかかるお金
書き出す・話し合う・物を減らすといった準備は、ほとんどお金がかかりません。費用がかかるのは主に次の手続です(2026年10月20日に確かめた額)。
- 遺言書を法務局に預ける: 1件3,900円
- 公正証書遺言: 財産の額で決まる手数料(たとえば財産全体が1億円以下なら、基準の手数料に1万3,000円が加わる)
- 任意後見の契約: 公正証書の基本手数料13,000円、登記嘱託手数料1,600円、印紙代2,600円など
くわしくは終活のお金の整理にまとめています。
よくある質問
終活は何歳から始めればいいですか?
決まりはありません。厚生労働省の人生会議の案内は、誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やけがをする可能性があると呼びかけています。年金や介護保険の節目に合わせて見直す方法もあります(年代別の終活)。
家族に話を切り出しにくいです。
まず自分で書き出してみて、「書いてみたから見ておいて」と渡す方法があります。毎年11月30日は厚生労働省が定めた「人生会議の日」なので、話すきっかけに使えます。
エンディングノートと遺言書は、どちらを先に作ればいいですか?
エンディングノートで財産や希望を整理してから、財産の分け方を決めておきたい場合に遺言書を作る順番が進めやすいでしょう。エンディングノートには遺言の効力がないので、分け方を確実に決めたいときは遺言書が必要です。
頼れる家族がいません。
入院や施設に入るときの身元保証、亡くなったあとの手続、判断能力が落ちたときのお金の管理を、誰に頼むかが要になります。おひとりさまの終活で、制度と自治体の支援をまとめています。
あわせて読む
出典
- 今から考えておきたい「デジタル終活」-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-(2024年11月20日)(国民生活センター)
- 「人生会議」してみませんか(厚生労働省)
- 人生会議(ACP)普及・啓発リーフレット(厚生労働省)
- 意思表示の方法(日本臓器移植ネットワーク)
- 相続登記の申請義務化について(法務省)
- 自筆証書遺言に関するルールが変わります。(法務省)
- 公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?(日本公証人連合会)
- 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A(任意後見制度について)(法務省)
- 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A(制度の利用について)(法務省)
- 高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(令和6年6月)(内閣官房・内閣府・金融庁・消費者庁・総務省ほか)
- 自筆証書遺言書保管制度(法務省)
- 自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧(法務省)
- エンディングノート ~あなたに届け、わたしの想い~(法務省・日本司法書士会連合会)
- 老いじたく情報登録事業(大田区)
出典の確認日: 2026年10月20日