葬儀の準備で本人ができるのは、希望を書き残すことと、見積もりを取って費用の目安を知ることです。家族は、亡くなってから短い時間で多くのことを決めなければなりません。形・規模・呼んでほしい人・費用の考え方が書いてあるだけで、慌てて高い契約をしてしまう心配が減ります。
葬儀の主な形
| 形 | 主な中身 |
|---|---|
| 一般葬 | 通夜と葬儀・告別式を行い、親族のほか友人や仕事の関係者なども参列する |
| 家族葬 | 家族や親しい人に絞って行う。人数や中身に決まった定義はない |
| 一日葬 | 通夜を行わず、葬儀・告別式と火葬を1日で行う |
| 火葬式(直葬) | 通夜や告別式の儀式を行わず、火葬を中心に行う |
「家族葬だから安い」とは限りません。人数が少なくても、選ぶ中身によって費用は大きく変わります。
料金のトラブルの例
国民生活センターは2026年6月3日、葬儀サービスの料金をめぐるトラブルが依然として多いとして注意を呼びかけました。葬儀サービスの相談は2019年度の632件から増え、2024年度は978件、2025年度は917件でした。
紹介された例には、次のようなものがあります。
- ネット広告で見つけた葬儀社に家族葬を頼んだら、高額な契約になった
- 一日葬は約30万円というチラシを見て頼んだら、約80万円の契約になった
- 「家族葬50万円」の表示で頼んだが、見積書に明細がなく、追加の費用もかかって総額が200万円を超えた
生前に書いておくこと
- 葬儀の形と規模(一般葬・家族葬・一日葬・火葬式など)
- 宗教・宗派、お付き合いのある寺や教会
- 知らせてほしい人と、その連絡先
- 喪主を頼みたい人
- 遺影に使ってほしい写真
- 費用の考え方(上限の目安、どの口座から出してほしいか)
- 事前に相談した葬儀社があれば、その名前と見積書の場所
- 納骨先の希望(墓じまいや新しいお墓のことも)
エンディングノートに書いて、置き場所を家族に伝えておきます。
見積もりを取るときの注意
国民生活センターは、次のことを勧めています。
- 葬儀の希望やイメージを考えて、情報を集める
- 葬儀社との打ち合わせは、親族や第三者など複数で行う
- 見積書は必ず受け取り、内容(明細)をよく確かめる
- 不安なときやトラブルになったときは、すぐに最寄りの消費生活センターなどに相談する
見積もりを見るときは、搬送・安置・棺・祭壇・火葬場の利用料・飲食・返礼品・宗教者へのお礼など、何が含まれていて、何が別にかかるのかを一つずつ確かめます。元気なうちに複数の葬儀社の見積もりを比べておくと、家族は落ち着いて決められます。
家族が受け取れる給付
- 葬祭費 — 国民健康保険や後期高齢者医療制度に入っていた人が亡くなったとき、葬祭を行った人に支給されます。大田区の国民健康保険では7万円(一律)で、葬儀の翌日から2年以内に申請します。額は市区町村などによって違います。
- 埋葬料 — 協会けんぽなどの健康保険の被保険者が亡くなったとき、生計を維持されていて埋葬を行う人に5万円が支給されます。申請は亡くなった日の翌日から2年以内です。
どちらも申請しないと受け取れません。エンディングノートに、入っている健康保険を書いておくと家族が手続しやすくなります。
亡くなったときの最初の手続
大田区の案内では、死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内)に出します。死亡届の用紙は医師の死亡診断書と一体になっていて、受け付けられると火葬許可証が交付されます(大田区では手数料なし)。
葬儀社が届出を代行することも多いですが、届出人になれるのは親族や同居者などと決まっています。手続の流れを家族と共有しておくと安心です。
よくある質問
生前に葬儀社と契約しておくべきですか?
契約までしなくても、見積もりを取って希望を書いておくだけで十分役に立ちます。前払いの契約をするときは、解約の条件と、払ったお金の扱いを書面で確かめます。
葬儀をしないという選択はできますか?
通夜や告別式を行わず、火葬を中心に行う火葬式(直葬)を選ぶ人もいます。家族や親族の気持ちもあるので、希望とその理由を書いて伝えておきます。
葬儀の費用は、亡くなった人の口座から払えますか?
遺産を分ける前でも、相続人は口座ごとに一定額(同じ金融機関で150万円まで)を払い戻せる制度があります(終活のお金の整理)。
あわせて読む
出典
- 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-(2026年6月3日)(国民生活センター)
- 墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)(国民生活センター)
- 葬祭費(大田区)
- 埋葬料・埋葬費(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 健康保険埋葬料(費)支給申請書(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 死亡届(大田区)
- 預金相続の手続に必要な書類(遺産分割前の相続預金の払戻し制度)(全国銀行協会)
- 全国の消費生活センター等(消費者ホットライン188)(国民生活センター)
出典の確認日: 2026年10月20日