大切なのは、残高よりも「どこに何があるか」を家族が分かる形で残すことです。使っていない口座は減らし、葬儀の費用の考え方も書いておきます。終活の手続そのものにかかる公的な費用は、数千円から数万円のものが中心です。
お金の一覧に書くこと
| 種類 | 書くこと | 書かないこと |
|---|---|---|
| 預貯金 | 金融機関名・支店・口座の種類、ネット専用かどうか | 暗証番号 |
| 証券 | 証券会社、ネット取引かどうか | ログインのパスワード |
| 保険 | 保険会社、種類、証券の保管場所、受取人 | — |
| 年金 | 受け取っている年金の種類、年金の書類の場所 | — |
| 借入れ | 借入先、ローンの種類、保証人になっている契約 | — |
| 毎月の支払い | カード、公共料金、サブスクの引き落とし先 | カードの番号 |
暗証番号やパスワードを一覧に書くと、一覧を見た人が誰でも使えてしまいます。一覧には「どこに何があるか」だけを書き、パスワードは別に封をして保管するなど、分けて扱います(デジタル終活)。
使っていない口座を減らす
口座が多いほど、家族の相続の手続は増えます。使っていない口座は、元気なうちに解約しておきます。
金融庁によると、2009年1月1日以降の取引から10年以上出し入れのない預金は「休眠預金」になります。休眠預金になっても、取引していた金融機関で、期限なく引き出すことができます。また、2025年4月1日からは、本人が希望すれば複数の口座にまとめてマイナンバーを登録でき、相続のときに家族が口座の所在を確かめられるようになりました(デジタル庁)。
保険と年金の確認
- 生命保険 — 受取人が今の希望どおりになっているかを確かめます。家族が契約の有無を調べる生命保険契約照会制度もありますが、調べる相手1人につきウェブの申請で6,000円、書面で7,000円かかります(災害のときの利用は無料)。一覧に書いておけば、この手間はかかりません。
- 年金 — ねんきん定期便で加入の記録と見込額を確かめます。分からないことは「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)に問い合わせます。受け取り始めの時期は60代の終活で説明しています。
葬儀の費用の備え
葬儀の費用は、形や規模、地域によって大きく変わります。国民生活センターは、広告やチラシで見た額より高い契約になったという相談が多いとして、2026年6月3日に注意を呼びかけました。葬儀サービスの相談のうち「高価格・料金」に関するものの割合は、2019年度の33.2%から2025年度には52.6%に上がっています。
家族が受け取れる給付もあります。
- 葬祭費 — 国民健康保険や後期高齢者医療制度に入っていた人が亡くなったとき、葬祭を行った人に支給されます。額は市区町村などで決まり、たとえば大田区の国民健康保険は7万円です。申請は葬儀の翌日から2年以内です。
- 埋葬料 — 協会けんぽなどの健康保険の被保険者が亡くなったとき、生計を維持されていて埋葬を行う人に5万円が支給されます。申請は亡くなった日の翌日から2年以内です。
葬儀の希望と、費用をどこから出してほしいかを書いておくと、家族が慌てて決めずに済みます(葬儀の準備)。
終活の手続にかかる公的な費用
2026年10月20日に公式のページで確かめた額です。
| 手続 | 費用 |
|---|---|
| 遺言書を法務局に預ける | 1件3,900円(撤回・変更の届出は無料) |
| 公正証書遺言 | 財産の額に応じた手数料(例: 1,000万円を超え3,000万円以下なら26,000円)。財産全体が1億円以下なら1万3,000円の加算(遺言書の準備) |
| 任意後見の契約 | 基本手数料13,000円、登記嘱託手数料1,600円、印紙代2,600円、ほかに正本などの証書代・切手代 |
| 法定後見の申立て | 収入印紙800円、登記手数料2,600円、切手代、鑑定料(ほとんどの場合10万円以下) |
| 遺言書の検認(家族がする手続) | 遺言書1通につき収入印紙800円と切手代 |
| 相続放棄(家族がする手続) | 収入印紙800円(1人につき)と切手代 |
| 相続土地国庫帰属制度 | 審査手数料 土地一筆14,000円、承認後の負担金 原則一筆20万円 |
お金のトラブルに気をつける
終活に関わる契約は、金額が大きく、長い期間にわたるものが少なくありません。身元保証や死後事務のサービス、葬儀、墓じまいなどで、説明と違う請求を受けた、解約できない、といった相談が消費生活センターに寄せられています。
- 見積書や契約書を必ず受け取り、内訳を確かめる
- その場で決めず、家族や第三者にも見てもらう
- 困ったときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつないでもらう
よくある質問
終活にはいくらくらいかかりますか?
書き出す・話し合う・物を減らすといった準備は、ほとんどお金がかかりません。遺言書を法務局に預ける(3,900円)、公正証書で遺言書や任意後見の契約を作る(数万円から)など、手続を選んだときに費用がかかります。
葬儀の費用はいくら用意すればいいですか?
形や規模で大きく変わるため、決まった額はありません。希望する形を決め、元気なうちに葬儀社の見積もりを取っておくと、目安が分かります。
亡くなったあと、家族はすぐに預金を引き出せますか?
遺産を分ける前でも、口座ごとに一定額(同じ金融機関で150万円まで)を払い戻せる制度があります。必要な書類は金融機関によって違います。
あわせて読む
出典
- 長い間、お取引のない預金等はありませんか?(金融庁)
- よくある質問:預貯金口座付番制度について(デジタル庁)
- 生命保険契約照会制度のご案内(生命保険協会)
- 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています(日本年金機構)
- ねんきんダイヤル(年金相談に関する一般的なお問い合わせ)(日本年金機構)
- 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-(2026年6月3日)(国民生活センター)
- 葬祭費(大田区)
- 埋葬料・埋葬費(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 健康保険埋葬料(費)支給申請書(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 預金相続の手続に必要な書類(遺産分割前の相続預金の払戻し制度)(全国銀行協会)
- 自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧(法務省)
- 公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?(日本公証人連合会)
- 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A(制度の利用について)(法務省)
- 遺言書の検認(裁判所)
- 相続の放棄の申述(裁判所)
- 相続土地国庫帰属制度の概要(法務省)
- 全国の消費生活センター等(消費者ホットライン188)(国民生活センター)
出典の確認日: 2026年10月20日