- 財産と借入れの一覧を作る
- 誰が相続人になるかを確かめる
- 相続税がかかりそうかを、基礎控除で見当をつける
- 分け方を決めておきたいなら、遺言書を作る
- 不動産の名義が今の持ち主になっているかを確かめる
財産と借入れの一覧
相続の準備の土台は、財産の一覧です。プラスの財産だけでなく、借入れや保証人になっている契約も書きます。相続人は、借入れが多いときに相続放棄を選ぶことがありますが、その判断には期限があるので、一覧がないと間に合わないことがあります。
- 預貯金(金融機関名・支店・種類)
- 株式・投資信託(証券会社)
- 不動産(所在地、名義、ローンの有無)
- 生命保険(保険会社、受取人)
- 借入れ・ローン・保証人になっている契約
相続人を確かめる
国税庁によると、亡くなった人の配偶者は常に相続人になり、ほかの人は次の順で配偶者と一緒に相続人になります。
| 順位 | 相続人 | 配偶者と一緒のときの法定相続分 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子(子が亡くなっていれば孫など) | 配偶者2分の1、子が全員で2分の1 |
| 第2順位 | 父母(父母が亡くなっていれば祖父母など)。子がいないとき | 配偶者3分の2、父母が全員で3分の1 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(亡くなっていればその子)。子も父母もいないとき | 配偶者4分の3、兄弟姉妹が全員で4分の1 |
法定相続分は、話し合いがまとまらないときの目安で、必ずこの割合で分けなければならないわけではありません。再婚や養子縁組などで家族の関係が複雑な人は、戸籍で相続人を確かめておくと、遺言書の準備にも役立ちます。
相続税がかかるかの目安
相続税は、遺産の合計が基礎控除額を超えるときにかかります。国税庁による基礎控除額の計算は次のとおりです。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
相続を放棄した人も、放棄がなかったものとして人数に数えます。養子は、実子がいれば1人まで、いなければ2人まで数えます。財産の評価のしかたには細かな決まりがあるので、基礎控除額に近い、または超えそうなときは、税務署や税理士に確かめます。
生前贈与の決まり
- 暦年課税 — 1年間にもらった額から基礎控除110万円を引いた残りに贈与税がかかります。2024年1月1日以後の贈与からは、亡くなる前の贈与を相続財産に足して計算する期間が3年から7年へ段階的に延び、2031年1月1日(令和13年1月1日)以後の相続で7年がそのまま当てはまります。延びた4年分の贈与は、合計100万円までは足されません(国税庁)。
- 相続時精算課税 — 選んだ人からの贈与は、亡くなったときに相続財産に足して精算する仕組みです。2024年1月1日以後の贈与には、暦年課税の110万円とは別に、年110万円の基礎控除があります。相続時精算課税を選んだ人からの贈与には、暦年課税の110万円は使えません。
どちらが向いているかは、財産の額や家族の状況で変わります。決める前に税務署や税理士に確かめてください。
不動産の名義と相続登記
- 2024年4月1日から、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に相続登記をすることが義務になりました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になることがあります(法務省)。
- 2024年4月1日より前に相続し、登記していない不動産は、2027年3月31日(令和9年3月31日)までに登記が必要です。
- すぐに遺産の分け方が決まらないときは、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」で、期限内の義務を果たす方法もあります。
- 使い道のない土地を相続したときは、一定の条件を満たせば「相続土地国庫帰属制度」で国に引き取ってもらう方法があります。審査手数料は土地一筆につき14,000円、承認されたら原則一筆20万円の負担金を納めます。
親や祖父母の名義のままの土地があれば、関係者が元気なうちに一緒に確かめておくと、手続がずっと楽になります。
家族が使える制度
自分が亡くなったあとに家族が使える制度も、知っておくと伝えやすくなります。
| 制度 | 中身 |
|---|---|
| 相続放棄 | 相続が始まったことを知ったときから3か月以内に、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる。収入印紙800円(1人につき)と切手代 |
| 預貯金の払戻し | 遺産を分ける前でも、口座ごとに「相続開始時の預金額×1/3×法定相続分」まで払い戻せる。同じ金融機関では150万円まで(2019年7月1日から) |
| 口座の所在の確認 | 本人がマイナンバーを口座に登録(付番)していれば、相続のときに口座の所在を確かめられる(2025年4月1日から・登録は任意) |
| 生命保険契約照会制度 | 家族が生命保険の契約の有無を一括で調べられる。調べる相手1人につきウェブ6,000円、書面7,000円 |
よくある質問
うちは財産が少ないので、相続の準備は要りませんか?
相続税がかからなくても、預貯金の払戻しや不動産の名義変更などの手続は必要です。財産の一覧があるだけで、家族の手間は大きく減ります。
借金があることを家族に知られたくありません。
相続人は、借入れが多いときに相続放棄を選べますが、知ったときから3か月以内という期限があります。家族を守るためにも、借入れの一覧は残しておくことをおすすめします。
相続人がいない場合はどうなりますか?
家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が清算し、残った財産は国庫に入ります。財産を渡したい人や団体があれば、遺言書が必要です(おひとりさまの終活)。
あわせて読む
出典
- No.4132 相続人の範囲と法定相続分(国税庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)
- 相続時精算課税制度のあらまし(国税庁)
- 相続登記の申請義務化について(法務省)
- 相続土地国庫帰属制度の概要(法務省)
- 相続の放棄の申述(裁判所)
- 預金相続の手続に必要な書類(遺産分割前の相続預金の払戻し制度)(全国銀行協会)
- よくある質問:預貯金口座付番制度について(デジタル庁)
- 生命保険契約照会制度のご案内(生命保険協会)
- 相続財産清算人の選任(裁判所)
出典の確認日: 2026年10月20日